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第六章 通信ネットワーク

6.1 通信ネットワークの役割
□通信ネットワークの変遷
そもそもコンピュータは、その誕生時に、通信とはまったく無関係であった。
が、現在のコンピュータシステムと通信とは、切っても切り離せないものになってきている。
コンピュータが誕生した当時、プログラミングをはじめ、データの入出力に至るまで、すべてがコンピュータルームで行われていた。
このため、遠隔地と情報のやりとりをする、いわゆる通信という概念は、まったく存在しなかったのである。
ところが1960年頃から、次第に遠隔地で発生したデータを1ヶ所で処理する、オンラインシステムが現れ、現在では、コンピュータシステムのほとんどすべてが何らかの形で通信ネットワークにかかわっている。
特に日本では、1985年に電気通信事業法が施行されたのをきっかけに、電気通信事業が活発になり、多彩な通信ネットワークが誕生したのである。

□通信ネットワークの構成と機能
通信ネットワークシステムの構成は、次の図のとおりである。
◇DTE(Data Terminal Equipment)
データ伝送の終端に位置する機器で、端末装置コンピュータ(処理装置)などがこれにあたる。
データの入出力や、データ形式の変換、データの蓄積などを行うものである。
◇DCE(Data Circuit terminating Equipment)
通信回線の終端に位置する機器。
DTE側から送られてきたデータを、伝送媒体の規格に変換して効率よくデータの伝送を行わせるものである。
通信回線の種類によって機器を使い分ける必要があり、アナログ回線でのMODEM、デジタル回線でのDSUなどがこれにあたる。
・MODEM(変復調装置)
コンピュータや端末などから送られてきた直流信号を、交流信号に変換してアナログ通信回線に送出したり、またこの逆を行う。
・DSU(Digital Service Unit)
コンピュータや端末から送られてきた直流信号を、デジタル通信回線の特性に合わせて送出したり、またこの逆を行う。
◇CCU(Communication Control Unit)
通信回線に接続されたDTE(端末装置)を制御する機器。
一般に、1台のコンピュータには何台もの端末装置が接続される。
これらの端末装置が効率よくデータ伝送を行えるように、データ形式の変換、データの一時的蓄積などを行う。
CCP(Communication Control Processor)とよばれることもある。
◇NCU(Network Control Unit:網制御装置)
交換回線を伝送媒体に使用するときに必要になる機器。
データ伝送に先だって、相手にダイヤルして呼び出す役割を果たす。
最近では、NCU機能付きのMODEMなどがある。
◇通信回線
遠隔地どうしを結ぶ伝送媒体(伝送路)のこと。
これまでは金属線を用いたものが主であったが、最近ではより高速に、しかも正確に遠隔地にデータを伝送できることから、光ファイバケーブルが広く使われるようになってきた。
通常、NTTなどの電気通信事業者から借りて使用するが、大きく分けて、私たちが日常使用している電話網に代表される交換回線と、コンピュータ通信で一般に使われている専用回線とがある。
・専用回線
常に特定の相手と接続し、通信を行う回線。
NTTが提供しているサービスとしては、一般専用線、高速デジタル専用線などがある。
料金は一般に月極定額制。
・交換回線
通信を行うたびに接続する相手を選択する回線。
このため、接続のためのNCU(網制御装置)が必要となる。
NTTが提供しているサービスとしては、電話網や、DDX網、INS(ISDN)などがある。
料金は一般に従量制。
専用回線は月額固定性のため、比較的情報量が多いときに使用すると有利である。
また、交換回線は交換方式の違いにより、「回線交換方式」「蓄積交換方式」の2つに分類することができる。
交換回線方式には、電話網やDDC−C、INS−Cなどがあり、蓄積交換方式には、DDX−Pなどがある。
蓄積交換方式では、一般にデータをパケットという単位に分割し、それぞれのパケットごとに宛先を示すヘッダを付加する。
交換網内では、それぞれのパケットの宛先を見て、送り先を判断し、経路を選択することを各交換機ごとに行い、リレー方式で相手にデータを伝達する。
このため、データの伝達遅延を考慮に入れる必要がある。

□通信ネットワークの基礎技術
◇データ通信
一般に、
データ通信=データ伝送+データ処理
と考えられている。
・データ伝送
遠隔地に正確に、できるだけ早くデータを伝送することをさす。
ここでいう伝送とは、単に「送る」だけでなく、「受ける」「確認する」といった動作もふくんでいる。
・データ処理
DTE(端末装置およびコンピュータ)において、伝送データを処理し、時には蓄積すること。
◇文字コード
コンピュータ内部のデータは、「0」と「1」の符号で表現されている。
これらをいくつか並べて、文字や数字などを表現したものを文字コードという。
文字コードには、「7単位コード」「8単位コード」「シフトJISコード」など、いくつかの種類が存在する。
しかし、これらの文字コードのうちのどれを使うかは、送信側と受信側とであらかじめ同一のものに決めておく必要がある。
文字コードには、「文字」や「数字」のほかに、制御文字とよばれるものが存在する。
これは、端末装置の制御などに使用されるもので、日常私たちの使用している文字とは違い、端末装置などの画面には表示されないことが多い。
◇シリアル(直列)伝送/パラレル(並列)伝送
シリアル伝送とは1ビットずつ順番に伝送するもので、パラレル伝送とはデータを数ビット同時に伝送するものである。
パラレル伝送は、シリアル伝送に比べて高速にデータを伝送することができるが、伝送媒体内にいくつもの伝送路が必要になり、伝送媒体自体のコストが高価になるほか、長距離伝送においては、各ビットの同期がとりにくくなるため、比較的狭い範囲内で、高速なデータ伝送を要求される部分(コンピュータとプリンタ、磁気ディスク装置間など)に使用されることが多い。
◇アナログ伝送/デジタル伝送
データ伝送を行う際、伝送媒体上をどのような形でデータを送るかによって、デジタル伝送アナログ伝送の2つに分けられる。
デジタル伝送は、コンピュータ内部で使用されているデジタルの符号(「0」と「1」)をそのまま直流信号の形で伝送媒体上を伝送する。
また、アナログ伝送はコンピュータ内部の符号を、人間の音声と同じような「波」の情報に変換し、これを交流信号の形で伝送媒体上を伝送する。
デジタル伝送はアナログ伝送に比べて雑音に強いなどの特性があるため、最近ではデジタル伝送も広く使われるようになってきている。
ただし、一般にデジタル通信にかかるコストは、アナログ通信に比べて高価である。
デジタル信号とアナログ信号とでは、伝送媒体の種別がまったく異なるため、DCEもこれに合わせて使い分けることになる。
デジタル伝送の場合はDSUを使用し、アナログ伝送の場合にはMODEMを使用する。
◇変調
コンピュータ内部のデジタル符号を、アナログのデータに変換すること。
この機能は、一般にMODEMが提供するものであるが、MODEMではこの逆の復調も行う必要がある。
変調の種類には、大きく、「AM(Amplitude Modulation):振幅変調」「FM(Frequency Modulation):周波数変調」「PM(Phase Modulation):位相変調」がある。
・AM:振幅変調
振幅変調は、振幅の幅を変化させることで、符号「0」と「1」を表現する(図6−2)。
・FM:周波数変調
周波数変調は、周波数の高/低で符号を表現する(図6−3)。
・PM:位相変調
位相変調は、交流信号の位相(波の位相)のズレで符号を表現する(図6−4)。
位相変調では、位相のズレを数種類用意することで、1回の変調で複数の符号(ビット)を表現することができる。
このため、比較的高速なMODEMでは、この変調方式を採用している場合が多い。
◇伝送速度
伝送速度の単位としては、「変調速度(baud)」と「データ信号速度(bps)」の2つを使用する。
変調速度はアナログ伝送の場合のみに用いるもので、1秒間に何回の変調が可能かを示すものである。
また、データ信号速度は、アナログ伝送とデジタル伝送の両方に用いられるもので、1秒間に何ビットの伝送ができるかを示すものである。
なお、変調速度とデータ信号速度の値は、必ずしも一致しない。
これは位相変調などの1回の変調で、複数のビットを表現できる場合があるからである。
◇同期
同期とは、データの送信側と受信側でのタイミングを合わせることで、大きく「調歩同期方式(非同期)」「キャラクタ同期方式」「フラグ同期方式(フレーム同期方式)」の3つに分けられる。
・調歩同期方式(非同期)
伝送データの各文字の前後に、「スタートビット」/「ストップビット」とよばれるビットをそれぞれ付加することで同期をとっている。
非常に簡単な同期のとり方であるために、非同期方式とよばれることもある。
・キャラクタ同期方式
伝送データの先頭に、文字コードの「SYN符号」をつけて伝送することで同期をとる方法。
いくつかの文字をまとめてブロックとして送ることができるため、調歩同期方式よりも伝送効率がよいが、処理が複雑になるといった欠点もある。
・フラグ同期方式(フレーム同期)
伝送データの先頭に、あらかじめ決められたビット列(フラグシーケンス)を付加して送信することで、同期をとる方法。
一般に、キャラクタ同期方式よりも効率がよいが、処理が複雑になる。
フラグシーケンスを付加した伝送データ群を「フレーム」とよぶことから、フレーム同期方式ともよばれる。
◇多重化
通信回線をより効率的に使用するために、しばしば通信回線の多重化といったことが行われている。
多重化とは、1本の伝送路に複数回線を収容することで、大きくはアナログ伝送方式で使用される「周波数分割多重化方式:FDM」と、デジタル伝送方式で使用される「時分割多重化方式:TDM」の2種類がある。
・周波数分割多重化方式:FDM(Frequency Division Multiplex)
周波数帯をいくつかに分割し、それぞれを伝送路と見たてて多重化する方法。
たとえば、通常の電話回線では、4kHzの幅で十分であることから、3本の伝送路を、12kHz帯、16kHz帯、20kHz帯に割り当てることで、物理的に1本の伝送路も、論理的には3本の伝送路とみなすことができる。
・時分割多重化方式:TDM(Time Division Multiplex)
伝送データのデジタル信号を、タイムスロットとよばれる一定時間のデータに分割し、複数の伝送路から送られてきたデータを1つの伝送路に収束して多重化する方式(図6−5)。
タイムスロットを各伝送路に均等に割り振るものと(これを通常TDMといい、STDMと区別することがある)、データ量に応じて適宜割り振るもの(STDM:統計的時分割多重化方式)とがある。
◇誤り検出方式
送られてきたデータが、正しいものかどうかを調べる方式。
データ通信では、伝送媒体上で何らかの影響を受けることが多い。
このため、通信システムでは、必ず誤りを検出する機能をもっている。
誤り検出の方法としては、大きく「パリティ方式」「巡回冗長度検査方式(CRC方式)」とがある。
・パリティ方式
垂直パリティと水平パリティの2種類がある(図6−6)。
垂直パリティだけだと、1ビットのビット誤りを検出することは可能だが、バースト的な連続したビット誤りは検出できない。
一般に、垂直パリティと水平パリティの両方を併用することが多い。
垂直パリティは、伝送データを7単位の文字コードなどで符号化し、8ビット目にパリティビットとして1ビットを付加する。
このとき、8つのビットの「1」の合計が偶数になるようにパリティビットを設定するのが偶数(even)パリティ方式で、奇数になるように設定するのが奇数(odd)パリティ方式である。
水平パリティは、伝送データをある程度の長さ(ブロック)に分割したときに、そのブロックの最後に付加するものである。
垂直パリティと同様に、偶数パリティと、奇数パリティとがある。
・CRC方式(Cyclic Redundancy Check)
もともとの伝送データをもとに、一定の計算式に基づいてある値を計算し、その値を符号化して伝送データに付加する方式。
伝送データのバースト的なビット誤りを検出できるため、HDLCなどの高度な伝送制御手順における誤り検出方式として採用されている。
◇データ伝送時間
データ伝送時間とは、送信側からの伝送データが、受信側に届くまでに要する時間のことである。
データ伝送時間は、通信回線の伝送速度と伝送データの量を用いて、
(データ伝送時間)=(伝送データの量)/(伝送速度)
で求めることができる。
つまり、伝送速度のより速い通信回線を用いればデータ伝送時間は短縮され、伝送データの量が多くなればその分伝送時間は増加することになる。
[問A]
伝送速度が300bpsの通信回線を用いて30バイトの伝送データを伝送する場合のデータ伝送時間を求めよ。
[A解答]
30×8(ビット)/300(ビット/秒)=0.8(秒)
伝送データの単位はバイト、伝送速度の単位はビット/秒(bps)で表されることが多いので、これらの単位をそろえることを忘れないようにすること。
問Aでは、伝送データが30バイトと明記されていたが、伝送データの量を計算して求めなければならない場合もある。
[問B]
伝送速度が300bpsの通信回線を用いて、調歩同期方式で60文字を伝送する場合の伝送時間を求めよ(ただし、パリティビットなしの8単位符号を用い、スタートビット、ストップビットはそれぞれ1ビットとする)。
[B解答]
1文字伝送するためにはスタートビット、ストップビットを付加して10ビットを伝送することになるので、60文字伝送するためには、10×60=600ビット伝送する必要がある。
よってデータ伝送時間は、
600(ビット)/300(ビット/秒)=2(秒)
となる。
◇通信方式
・単方向通信
データが一方向にしか流れない(図6−7)。
・半二重通信
互いに送受信が可能。
しかし、同時に両方からデータ送出することはできない図6−8)。
現在のオンライン処理のほとんどはこの通信方式である。
・全二重方式
互いに同時に送受信が可能である(図6−9)。
◇回線接続方式
コンピュータと端末装置などを接続する場合、その接続形態から、次の2つに大別される。
・ポイントツーポイント方式
コンピュータと端末装置が1対1で接続(図6−10)。
一般に情報伝送量が多い場合に用いられる。
・マルチポイント接続方式
1つの回線を、分岐装置を使って多くの端末で共同利用する(図6−11)。
ある端末がデータを送受信中の場合、ほかの端末は送受信できない。
一般に、1台当たりの端末〜コンピュータ間の情報転送量が少ない場合に用い、回線の効果的利用を図る。

□伝送制御手順
伝送制御手順とは、実際にデータを送受信するための、通信する機器どうしの取り決め(プロトコル)のこと。
大きくは、
 ・無手順
 ・ベーシックモード伝送制御手順
 ・HDLC
の3つに分けられる。
◇無手順
伝送制御用の符号(文字コードなど)のみの取り決めをして、基本的には自由に情報の送受信を行う。
回線接続方式はポイントツーポイントに限られる。
◇ベーシックモード(基本形)伝送制御手順
伝送用符号(文字コード)の組合せによって、制御の手順を取り決め、電文ごとに相手の受信状況を確認しながらデータの伝送を行う。
通信方法や回線接続方式などの違いにより、次の2つに分けられる。
・コンテンション方式
データの送出権を「早いもの勝ち」で決める方法。
送出したいデータをもつ側は、相手に対して「送信要求」というメッセージを送出する。
これに対して、相手の肯定応答が返ってくれば、送信ができるのである。
この「送信要求」は、いつでも送出することができるので、同時に要求をした場合には、送信権の競合(コンテンション)が発生する。
回線接続方式は、ポイントツーポイント接続に限られる。
・ポーリング/セレクティング方式
制御局(一般に、ホストコンピュータ側に設置されたCCU)とよばれるものがデータ伝送のための制御を行う方式。
制御局に対し、制御される側を従属局とよぶ(一般に端末)。
通信の方法は、まず、制御局が各従属局に対して、送出データの有無を問い合わせる「ポーリング」を行う。
各従属局は、このポーリングが自分宛てにきたときにのみデータを送出することができる。
また、逆に制御局側が従属局に対してデータを送出したい場合は、制御局が従属局に対して、送信の可否を問う「セレクティング」を行う。
◇HDLC(ハイレベルデータリンク制御手順)
ベーシックモードにおける、伝送効率などの問題点を解決する形で開発された伝送制御手順。
データは、すべてフレームとよばれる単位で扱われ、かつ、このフレームは番号管理されているため、フレームの連続転送、再送処理が可能である。
このため、伝送効率が高いのが特徴である。
また、HDLCでは、ベーシックモードでは扱えなかったバイナリデータの転送も可能である(ビット透過性)。
◇伝送制御キャラクタ
ベーシックモードでは、データ伝送を制御するために10種類の伝送制御キャラクタが定義されている。
これらの伝送制御キャラクタは、伝送データの前後に付加して送信され、それぞれが固有の伝送制御に関する意味をもっている。
ここでは、このうちの3つの伝送制御キャラクタについて説明をする。
ACK(Acknowledge):肯定応答
NAK(Negative Acknowledge):否定応答
ENQ(Enquiry):問い合わせ
コンテンションの方式の場合には、送信したいデータをもつ側が相手に対して「送信要求」というメッセージを送出することになっているが、この「送信要求」メッセージには伝送制御キャラクタのENQが用いられる。
これに対して「送信要求」を受信した側は、データを受信できる状態であれば、送信側に対して「肯定応答」メッセージを送信する。
この「肯定応答」メッセージには伝送制御キャラクタのACKが用いられる。
逆に受信側がデータを受信できないような状態であれば「否定応答」メッセージを送信する。
この「否定応答」メッセージには伝送制御キャラクタのNAKが用いられる。
ベーシックモードでは、このように伝送制ぎゃキャラクタを用いて受信側と送信側との間で確認を取り合って、データを送受信することになる。

6.2 ネットワークアーキテクチャ
□ネットワークアーキテクチャとは
コンピュータシステムが複雑化していく中で、データ通信システム自体も、それに比例して複雑化していった。
こうした中で、IBM社は、1974年に自社の通信システム製品に適応したネットワーク体系としてSNAを発表した。
これに刺激され、コンピュータメーカー各社は1970年代の後半にかけて、次々と独自のネットワークアーキテクチャを発表した。
その後、異なったネットワークアーキテクチャのコンピュータ間の接続の必要性が発生し、ネットワークアーキテクチャの標準化が始まった。
ネットワークアーキテクチャの標準化により、次のようなことが実現できた。
・異なるメーカーの製品でも同一アーキテクチャ製品であれば接続が可能になる
・標準的なインタフェースに準拠した装置を利用することにより、システム開発、拡張、保守が容易になる
・ネットワークを抽象化するので、アプリケーションからは物理的なネットワークの構成などを意識する必要がなくなる

□OSI基本参照モデル
OSIとは、Open System Interconnectionの略で、ISO(国際標準化機構)によって標準化されたネットワークアーキテクチャである。
情報通信システムを7つの層に分け、それぞれに機能を定義している(図6−13)。
OSIでは、下の層から上の層に対しては、「サービス」という概念を取り入れている。
たとえば、セション層のプロセスは、トランスポート層のサービスを受けてデータ伝送を行うことになる。
◇物理層
電気的、機械的および物理的条件を管理し、ビット列の伝送を保証する層。
伝送路の種類にはいろいろあるが、この物理層の介在によって、端末は伝送路の物理的な性質を意識せずにデータを伝送できる。
RS−232CV.24などがこの物理層の規格である。
◇データリンク層
通信する相手との間に論理的な経路である「データリンク」を張り、伝送路上で発生するビット誤り検出などを行い、データを円滑に伝送できるようにする層。
具体的には、HDLC手順のフレームというデータ伝送の単位で、お互いにデータをやりとりする。
この層のプロトコルとして、パケット通信で使用されるLAP−Bなどがある。
また、LAN関連の規格では、この層がさらにMAC副層とLLC副層との2層に分けられる。
◇ネットワーク層
コンピュータや端末装置が、交換網などの構成を意識しないでデータを伝送できるようにする層。
通信を行うものどうしの通信経路を確立するための中継、ルーチング機能を有し、エンド・ツー・エンドのデータ伝送を保証する。
この層の代表的なプロトコルとして、X.25パケットレベルプロトコルがある。
◇トランスポート層
データ伝送を行うものどうしで、確実にデータが伝送されることを保証する層である。
上位層の回線品質や、通信サブシステムの物理的な構成を意識せずに、通信ができるようにする。
多重化/合流、フロー制御などの機能をもっている。
◇セション層
情報の送り方(半二重や全二重、送信権など)の制御、およびデータ授受の同期の制御を行う。
セション層では、一連のデータのやりとりを会話と考え、会話ごとの単位にデータの伝送の確認をとる仕組みが定義されている。
◇プレゼンテーション層
一般に、応用層のデータは異なるデータ構造をもっている。
プレゼンテーション層では、この異なるデータ構造を共通するものに変換したり、逆変換を行ったりする。
たとえば、文字コードの違いなどがいい例だが、この層ではこれらを、お互いに理解できる共通の形式に変換したり、または情報の安全性を高めるための暗号化や情報の圧縮などを行う。
◇応用層
応用業務に対するプロトコルやサービスを提供する。
この層にあたるプロトコルとしては、ファイル転送とアクセス管理(FTAM)、仮想端末(VT)、メッセージ通信処理システム(MHS)などがある。
アプリケーション層ともいうことがある。

6.3 電気通信サービス
□電気通信事業者
昭和60年に電気通信事業法が施行され、通信サービス分野の市場が開放された。
この法律では、電気通信事業を行う事業者を次のように分類している。
◇第一種電気通信事業者
NTT、KDDをはじめ、NCCとよばれる企業がこれにあたり、自ら回線設備を設置することができる。
事業者は、郵政省の認可が必要である。
◇特別第二種電気通信事業者
一般に、VAN業者とよばれる企業のほとんどがこれにあたる。
一般第二種電気通信事業者とは、事業規模によって区別される(特別第二種電気通信事業者の事業規模のほうが大きい)。
自ら回線設備をもつことはできないが、第一種電気通信事業者から借用した回線を再販することができる。
このとき、データ処理などの付加機能を同時に提供することもできる。
事業者は、郵政省に対する届け出が必要である。
◇一般第二種電気通信事業者
特別第二種電気通信事業者との違いは、事業規模のみである。

□電気通信サービスの種類と特徴
通信回線には、常に特定の相手と接続される専用回線と、通信を行うつど相手を選択して接続することが可能な交換回線とがある。
NTTの提供しているサービスを分類すると、次のようになる。
◇一般専用回線
アナログ伝送サービスの「帯域品目」とデジタル伝送サービスの「符号品目」がある。
◇高速デジタル回線
音声、データ、FAX、テレビ会議などのさまざまなメディア、通信速度の情報を、高速に、大容量でデジタル伝送する全二重の専用回線サービス。
TDMの普及にともなって、企業通信の基幹回線として、最も多く利用されているサービスである。
現在ユーザ網インタフェースとして、1984年からNTTがサービスしている「Yインタフェース」と、1990年からサービスを開始した「Iインタフェース」とがある。
利用者は使用時にどちらのサービスを使用するかを決定する必要があるが、今後は国際標準に準拠したIインタフェースが主流になっていくと予想される。
◇電話網
私たちの日常生活に欠かせない通信回線である。
本来、音声を送るための交換回線だったが、現在ではデータ通信にも広く使われている。
◇DDX網
データ伝送用のデジタル網として登場したのが、このDDX網である。
デジタル回線であるため、高速かつ高品質なサービスを実現している。
交換回線のDDX−Cと、蓄積交換のDDX−Pがある。
◇ISDN
Integrated Services Digital Network(総合サービスデジタル網)の略で、マルチメディア通信をにらんだ新しい通信サービスの形態である。
これまで、音声やデータなどで種別に用意していた通信サービスを、このISDNですべて行ってしまうもの。
国際標準に準拠しており、今後の普及が予想される。
現在のISDNは、基本速度インタフェースと、一次群速度インタフェースとよばれる2種類の伝送速度で提供されているが、この2種類をN−ISDNとよび、今後登場する、より高速なB−ISDNと区別している。

6.4 ローカルエリアネットワーク(LAN)
□LANとは
LANは、Local Area Networkの略で、限られた範囲内に、利用者が自ら設置、運営する高速の通信システム。
一般に、オフィス内、工場内などの狭い範囲で導入されている。
LANの特徴としては、
・高速のデータ伝送が可能
・回線使用量が不要
・端末(ノード)の増設、移動、およびネットワークの拡張が容易
・業界標準のプロトコルがひととおりできているため、オープンなシステム構築が可能
・セキュリティ対策が不十分になりがち
などがあげられる。

□LANの基礎技術
◇アクセス方式
LANにおけるアクセス方式は、大きく分けて、CSMA/CD方式とトークンパッシング方式の2種類がある。
・CSMA/CD方式(Carrier Sense Mulitiple Access with Collision Detection)
早いもの勝ちで伝送路はのデータの送出権を獲得する方法。
複数のノードが同時に伝送路へアクセスした場合、お互いに適当な時間だけ待って、もう一度同じデータを伝送媒体に送り出す。
この待ち時間を各ノードごとにランダムにすることで、再び衝突する確率を下げている。
・トークンパッシング方式
トークンとよばれるデータの送信権を伝送路に接続されているすべてのノード間で巡回し、伝送媒体へのアクセス制御を行う方法。
この方式をさらに拡張したものとして、アペンドトークンパッシング方式とアーリートークンリリース方式がある。
◇トポロジ(形態)
LANの形態としては、バス型、リング型、スター型などがある。
・バス型
1本の伝送媒体に、すべてのノードを接続する形態。
特徴としては、1つのノードの故障がほかのノードに影響しないこと、ノードの増設が容易に行えることなどがあげられる。
・リング型
リング状の伝送媒体に、すべてのノードを接続する形態。
特徴としては、1つのノードの故障がネットワーク全体に影響を与える可能性があるため、これに対する何らかの対策が必要となる。
伝送効率は、一般にバス型よりもよい。
・スター型
PBXやHUB(ハブ)とよばれる機器を中心に、それぞれのノードを接続する形態。
特徴としては、ノードの追加は容易に行えるが、中心となるPBXやHUBの故障は、ネットワーク全体の停止を意味することになる。
◇インターネットワーク機器
LANどうしを接続するときに使用する機器。
物理層レベルで接続するリピータ、データリンク層のMAC副層レベルで接続するブリッジ、ネットワーク層レベルで接続するルータ、それ以上の層で接続するゲートウェイなどがある。
・リピータ
LANどうしをOSIの物理層レベルで接続する。
このため、LANの物理層レベルの規格が同一であるものどうしの接続に限られる。
・ブリッジ
LANどうしをOSIのデータリンク層レベルで接続する。
LANにおいて、データリンク層は、下位のMAC副層(Media Access Control)と上位のLLC副層(Logical Link Control)に分けることができるが、ブリッジは、この下位であるMACレベルでの接続を行う。
このため、接続するLANどうしは、このMAC副層以下の規格が同一である必要がある。
・ルータ
LANどうしをOSIのネットワーク層レベルで接続する。
ネットワーク層では、伝送データの経路選択(ルーティング)を行うため、大規模なネットワークをこのルータによってセグメント化し、伝送媒体上のデータ量を下げることができる。
なお、接続するLANどうしのネットワーク層以下は、同一の規格である必要がある。
・ゲートウェイ
トランスポート層以上が異なるLANどうしを接続する場合、ゲートウェイとよばれる機器を使用する。

□LANの標準化
LANでは、業界標準が事実上の標準になっている。
◇IEEE802.3
アクセス方式はCSMA/CD、トポロジはバス型およびスター型で、イーサネットとよばれる製品をもとに標準化されている規格。
伝送媒体の種類に応じて分けられた10BASE−5、10BASE−2(Thinイーサネット)、10BASE−Tなどの名前で有名である。
現在最も普及している規格である。
◇IEEE802.4
アクセス方式はトークンパッシング方式、トポロジはバス型(トークンバス方式)の規格。
◇IEEE802.5
アクセス方式はトークンパッシング方式、トポロジはリング型(トークンリング方式)の規格。
◇FDDI
100Mbpsの伝送速度のLAN。
伝送媒体に光ファイバケーブルを使用している。
これまで、大規模ネットワーク(イーサネットなど)の支線LANを収容する基幹LANとして普及してきたが、最近になって、このFDDIに直接接続するノードが現れてきている。
アクセス方式は、アペンドトークンパッシング方式、トポロジはリング型である。
◇LANの物理媒体
IEEE802.3で規定している物理媒体のうちで、代表的なものを以下に示す。

10BASE−5
伝送速度 10Mbps
伝送方式 ベースバンド方式
伝送距離 500m
基本媒体 1/2インチ同軸ケーブル
物理トポロジ バス型


10BASE−2
伝送速度 10Mbps
伝送方式 ベースバンド方式
伝送距離 185m
基本媒体 1/5インチ同軸ケーブル
物理トポロジ バス型


10BASE−T
(TはTwisted-pairの略)
伝送速度 10Mbps
伝送方式 ベースバンド方式
伝送距離 100m(UTP3長)
基本媒体 より対線(UTP3)
物理トポロジ スター型

なお、ベースバンド方式とは、コンピュータからのデジタル信号(パルス)をそのままの形で伝送する方式のことで、ブロードバンド方式とは、コンピュータからのデジタル信号(パルス)をアナログ信号に変換して伝送する方式のことである。
また、伝送距離は1セグメント当たりのケーブルの最大長をさす。

□インターネット
◇インターネットとは
1960年代後半に、米国政府は実験的なネットワークとしてARPANETとよばれるネットワークを開発した。
このネットワークは実験や研究のために開発されたものであったため、当初は商業利用が禁止されており、研究者など一部の者のみ利用可能なものであった。
その後、このネットワーク運営の民営化が行われ、結果このネットワークを商業利用することが可能となり、接続する企業や個人が爆発的に増加した。
これが現在のインターネットになっている。
インターネット接続には、プロトコルとしてTCP/IPが必要である。
TCP/IPとは、OSI基本参照モデルのトランスポート層に相当するTCP(Transmission Control Protocol)とネットワーク層に相当するIP(Internet Protocol)を組み合わせたデータ通信プロトコル体系のよび名である
◇IPアドレス
IPでは、通信する宛先や送信元を識別するために論理的なアドレスを用いており、これをIPアドレスとよぶ。
IPアドレスは32ビット(4オクテット)で表現され、10進数で1オクテットごとにドット(.)を入れ、
172.10.5.100
というように記述する。
IPアドレスは、ネットワークアドレスホストアドレスから構成されており、上位何ビットがネットワークアドレスを表し、下位何ビットがホストアドレスを表すのかはIPアドレスによって異なってくる。
これらの分け方としてアドレスクラスというものが用意されており、主なアドレスクラスとして、クラスA、クラスB、クラスCがある。
IPアドレスの最初のビットが0ならば、クラスAのアドレスになる。
次の7ビットがネットワークアドレスを識別し、残りの24ビットがホストアドレスを識別する。
IPアドレスの最初の2ビットが10ならば、クラスBのアドレスになる。
次の14ビットがネットワークアドレスを識別し、残りの16ビットがホストアドレスを識別する。
IPアドレスの最初の3ビットが110ならば、クラスCのアドレスになる。
次の21ビットがネットワークアドレスを識別し、残りの8ビットがホストアドレスを識別する。
それぞれのクラスで表すことのできるネットワーク数、ホスト数は次のようになる。

ネットワーク数 ホスト数
クラスA 126(2−2) 16777214(224−2)
クラスB 16382(214−2) 65534(216−2)
クラスC 2097150(221−2) 254(2−2)

◇WWW(World Wide Web)
インターネットでは、電子メールやNet News(電子ニュース)、FTP(ファイル転送サービス)、TELNET(仮想端末)などさまざまなサービスが利用可能であるが、その中で最も注目されているものがWWW(World Wide Web)である。
WWWでは、クライアント側のWWWブラウザからURL(Uniform Resource Locators)を用いて情報の位置を指定することにより、さまざまなWWWサーバ上で提供されている情報にアクセスすることが可能である。
これらの情報は、ハイパーテキストとよばれる形式で記述されている。
ハイパーテキストとは、テキストの中に別の文書の位置の情報(リンク情報)が埋め込まれている文書のことである。
このリンクをたどっていくことにより、コンテンツの物理的な存在位置を意識することなく、さまざまなWWWサーバ上で提供されているコンテンツにアクセスすることが可能となっている。
このようなハイパーテキストは、HTML(Hyper Text Markup Language)という言語を用いて記述される。
また、HTMLの流行にともなって注目を集めている言語にSGML(Standard Generalized Markup Language)がある。
SGMLは文書の論理構造記述を可能にした言語である。
HTMLはSGMLのサブセットである。


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